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床の間のある家に越したついでに、座布団もこしらえようと思い立ってもういく月。ペラペラした小座布団では八畳の間に具合がわるい。ふとん屋さんの店先やホームセンターで叩き売られているけれど、綿はやっぱりナイロンでなく木綿がいいし、皮だって絹か木綿の気に入った色柄がいい。専門店ならどこに出しても恥ずかしくない立派なものが種類も豊富。縮(ちぢみ)で名高い越後の小千谷や、織物のまち富士吉田など、産地ならではの生地とくれば、云うとこなしのお見立てだ。 布ギャラリー http://www.kinuito.com/ 田辺織物 http://www.yin.or.jp/user/tanabe/ ちかごろはクッションに押され気味の座布団が現れたのは江戸時代も半ばころ、一般につかわれたのは大正からと歴史は意外にあたらしい。サイズもいろいろ、いちばん小さな茶席判から夫婦判まで6種類ほど数えられるが、織物の名をとった銘仙判(55cm×59cm)や、八端判(59cm×63cm)が定番だろう。真四角でなく、奥行きが幅よりわずかに広いのは、折り畳んだ膝下の方が膝の幅より長いため。昔ながらの寸法には、なるほど道理があるものだ。縫い目のない輪の一辺が正面というきまりごとも、お客をするなら知っていたほうがいい。サイズによって生地も異なり、仏用は金ぴかの鳳凰や唐草の柄、無地の茶席用は麻や木綿の風合いがものをいう。色違いの夫婦判など、お祝いにもよさそうだ。 一疋屋 http://www.rakuten.co.jp/muromachi/ 道端 http://www.rakuten.co.jp/mitibata/457458/ ひと昔ならどこの家にもあったものだが、5枚一組あつらえるのは、ちょっとした買い物になる。縫いもの好きならじぶんで作ってしまうのもいい。ふとん屋さんに平たく畳んだ座布団用の綿もあるし、作り方も教えてくれる。すぐにぺたんこにならぬよう、綿をぎゅうぎゅう入れるのがコツ。皮のうえに90度ずらせて置いた綿を折りたたみ、角まできっちり入れてやる。足までつかう力仕事で、なにより部屋じゅう埃をかぶるので、あたりをすっかり片付けて、からりと晴れた日を選びたい。四隅とまん中を太いとじ糸でしっかり綴じればできあがり。 [寝具の近田]座布団の作り方 http://www.tees.ne.jp/~syokunin/zabuton/zabuton.htm 茶の間のシーンがやたらと多い小津安二郎の映画にも、長屋には裏も破れた格子柄、母娘のアパートにはかわいいプリントと、住まいによっていろんなのが使われている。いちばんいいのは、昔ながらのしっかり厚い縞木綿。栗の皮や榛(はん)の木、樒(しきみ)、楊梅(やまもも)と藍とで染めた丹波布などは、茶と緑、藍と白だけで織り出される縞の風合いがどの季節にも気持いい。しかしこちらもいまでは手織りの高級品、陋屋にはもったいないと、生地えらびにも骨が折れ、出来上がるのはいつの日か。(本間さとみ) |
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