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曲げわっぱの弁当箱をつかいはじめてもう5年。白木の木肌は染みが浮き、角がまるく削れてきたが、まだまだ丈夫で現役だ。うすく剥いだ杉板を茹でて丸めて型を決め、桜の皮で縫い留める。ぴったり合わせた底と蓋にはちいさな木釘が打ってあるので、まこと丈夫にできている。杉の香りは薄れてきたが、ごはんの湯気をほどよく逃がす木の効用はお櫃とおなじ、冷めてもおいしく食べられる。通気もいいが水も漏るので、煮〆はうんと煮詰めたり、ごはんを敷いたり気をつける。それでも時々かばんの中で、しょうゆが染み込んだ憐れな本も数知れず。乾きにくい梅雨時やさむい冬には、熱湯かけたり陽に当てたりと、かわいいぶんだけ手もかける。 曲げわっぱの工程 http://www.chuokai-akita.or.jp/magewappa/kote.htm#5 曲げ物といえば秋田大館。樵のつくった器がさいしょといわれるが、藩政のころ、山に繁る秋田杉に目をつけた城主佐竹西家が年貢代わりに原木を納めさせ、武士の内職でつくらせたのが、関東にまで広まった。江戸時代から職人に受け継がれた曲げの技術は、塗りとあわせて今なお大館の10を越える店に伝わり、桶や水次、盆、柄杓など、時代とともに洗練をきわめる。 有)栗久 http://www.chuokai-akita.or.jp/magewappa/kurikyu/list.htm 曲げわっぱ高久 http://www.chuokai-akita.or.jp/magewappa/takaku/list.htm 有限会社柴田慶信商店 http://www.chuokai-akita.or.jp/magewappa/shibata/list.htm 大館工芸社 http://www.chuokai-akita.or.jp/magewappa/kougeisya/list-1.htm 鎌田曲物工芸 http://www.chuokai-akita.or.jp/magewappa/kamada/list.htm 曲げ物にかぎらず、祭りや花見と行楽好きな日本の弁当文化は、じつに多様でおもしろい。さいきん眺めて飽きないのは、「聞き書 ふるさとの家庭料理」というシリーズ本の「日本のお弁当」という一冊だ。ひな祭りや磯、浜遊びなど季節の行事や芝居見物、相撲見物など、地方色ゆたかなごちそうが、カラー写真で紹介される。 「ふるさとの家庭料理」 全巻 http://www.ruralnet.or.jp/zensyu/furusato/index.html 日本のお弁当 目次 http://www.ruralnet.or.jp/zensyu/furusato/m19.html 年に一度の特別な日に、おすしやおこわを重箱へきれいに詰めた豪華な「祭りと行事の弁当」よりも、なぜか迫力満点なのが「働く人びとの弁当」だ。野良や山、漁にでるとき持っていく、「田植えのこびり(小昼)」の鮨桶みたいなこびり鉢にぎっしり詰めたおむすびにたくあん、畑で広げるめんぱにぎゅう詰めの麦飯に、おかずは目刺とまるごとのきゅうりや大根、くわえて味噌をたっぷりと。質素きわまる献立ながら、やけに旨そうに見えるのは、年季のはいった曲げ物や、朴葉に藁に竹の皮、柳行李の器に小枝をけずった即席の箸、漁師がつかう、茶碗も収まる箱膳ふうの沖弁当など、天然素材で工夫をこらした容れものの力ゆえだろう。積みあげた稲のわきで、赤銅色のかおをほころばせた姉さん被りのおばさんたちが、どぶろくを傾けたり、切り倒した枝の焚き火で、ねじり鉢巻に地下足袋のおじさんたちが、めんぱに注いだお茶をすする写真がこれまた様になる。 今年もそろそろ花見の季節、弁当たずさえ出かけよう。(本間さとみ) |
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