コラム
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さきごろ、夕食のさなかに、まったくなんの前ぶれもなくぽろりと奥歯のつめものがとれてしまいました。なんだかすっかり古びた小さな銀のつめものでしたが、毎日たいへん世話になっていたらしく、普段は左右どちらで噛んでいるかなど気にもとめなかったのが、左の奥歯がそんな状態になってしまうと、当然右でしか噛めなくなって、片側のあごだけ疲れてしまうのですね。非常に不自由をしました。もちろん早速歯医者さんにでかけてなおしてもらったのですが、ものはついでと歯の清掃をしてもらうことにして、あの残暑きびしいあいだしばらくは、歯医者さん通いに精をだしていたのでありました。

最近、治療を行わない歯医者さんが登場したとテレビでみましたが、ご存知でしょうか。治療もせずにいったい何をするところなのかというと、もっぱら歯のクリーニングなのだとか。スタッフはきちんと歯科医師、歯科衛生士の免許を持った方々でありながら、虫歯治療は他の歯医者さんでしてもらってね、という新しい経営スタイルなのです。「そんなのでペイするの?」というのが正直な感想でしたが、TPOを気にするビジネスマンが、忙しい仕事のあいまをぬってせっせと通ってくるそうですから、しっかりニーズをとらえていたのですね。

でもそんなデンタルエステティック一本で経営がなりたつのは、やはりというか当然首都圏はじめ大都市部にかぎられているのが実状で、わたしが住んでいるような地方では、普通の歯医者さんで掃除をしてもらうのが一般的でしょう。でもなかなかどうして、最近の歯医者さんはあなどれません。いや、別にあなどっていたわけではないのですが、いつまでも「キュイーン・・・」という音とともに不穏で硬質な空気をみなぎらせているわけではないのです。今回わたしがお世話になったのは、うちからドアtoドアで30秒とかからない極々至近な場所にオープンしたばかりのこぢんまりした歯医者さん。診察台は2台だけ、完全予約制ですし、診察台どうしは壁で仕切られているため、個室のようなおちついた雰囲気のなかで治療をうけることができました。しかもスタッフの人数も少ないですから、だいたい同じ時間帯で予約していくと、ほとんどいつも同じ衛生士さんがみてくれる点もいままでになく安心できました。

歯のクリーニング(PMTC)
http://allabout.co.jp/health/dentalhealth/closeup/CU20050710A/

デンタルエステというと美白を連想しがちですが、まずはクリーニングが基本です。じつはわたし、毎日コーヒーをブラックで飲んでいた一時期に、歯の裏側に、いわゆるステインがべったり付着してしまい、以前通っていた歯医者さんでは、圧縮エアで重炭酸ナトリウム塩を吹き付けるという方法でクリーニングしてもらってもきれいにならなかったのです。「歯の裏側なんて人がみる場所でもあるまいし・・・」と開きなおることができればよかったのでしょうが、そうもできず、ずっとクヨクヨ悩んでいたのを、今回、きれいにとってもらいました。

それはそれは、目の前がぱあっと明るくなって、何度も鏡の前であんぐり口をあけては満足の嘆息をつくほどのよろこびだったのですが、じつはそれとは別に、非常にきもちよかったのが歯周ポケットの掃除。歯の根元をシュイーンと掃除してもらうのですが、これがまあなんともねむくなるような気持ちよさではありませんか。「んがー」と口をあけてチドリに歯の掃除をしてもらっているカバやワニの気持ちがわかる気がしました。「また半年ほどしたらいらしてくださいね」という笑顔の衛生士さんに、しっかりうなづいて帰ってきたのはいうまでもありません。なんといっても近いですしね。

クリニカ「スポンジフロス」
http://www.lion.co.jp/ja/seihin/brand/014/09.htm

しばらくの間ウォーターピックに頼りきりでフロスはさぼっていたのですが、やはり歯と歯の間の掃除にはフロスが最も効果的なのだそうです。しかも歯茎の後退を遅くする効果もあると聞いて、がぜんフロッシングにもはげむようになりました。どうやら防ぎようがないらしい歯茎の後退ですが、できるかぎり抑えたいですからね。近頃はフロスを強く押し込んでも歯茎から血がでることもなくなり、「イーッ」と鏡の前に立ち、以前より調子のよさそうな歯茎をながめてニヤついています。これが、秋の夜長のひそかなたのしみとなっているのでした。(大澤)